1、骨折の癒合不全の起こり方
2、癒合不全の治療法
3、治療症例
1、骨折の癒合不全の起こり方
最近はトイプードルやポメラニアンなどの体の小さい犬が人気で、体重が1〜2kgの犬が多く飼育されるようになってきました。犬を抱いているときに落下させるだけで細い前足の骨を骨折することがあります。現在は、骨折した時のスタンダードな治療法は手術です。手術によって骨折は正確に整復できるので手術後のレントゲンでは骨折がきれいに治っているように見えます。
手術後の癒合不全
しかし、治っていくと思われた骨が、数ヶ月後に細くなっていくことがあります。また、プレート金属への感染や通常の運動によるプレート破折、プレート除去手術後の再骨折などが起こることがあります。
ギプスによる癒合不全
患肢全体を覆うギプスを数ヶ月間にわたり装着していると、徐々に骨の密度が低くなり湾曲していきます。骨密度が低下するとギプスを外したときに再骨折を起こすことが多いです。
2、癒合不全の治療法
プレート手術やピンニング手術をしている場合
- プレートやピンなどの金属除去と細菌感受性検査
- 3Dギプス
- PRP療法
- 骨髄移植、海面骨移植
- 人工骨(β-TCP)
プレートやピンが入っている場合は手術により摘出します。また金属に細菌が付着していないかの感受性検査をします。手術による骨へのダメージが大きい場合は、PRPや骨髄移植などを行います。完全な骨の消失が起こっている場合は人工骨を使用した骨置換手術を行います。その後に、3Dギプスを装着して、骨折している骨に負荷をかけて骨再生を促します。
従来のギプスで骨密度が低下している場合
- 3Dギプス
3Dギプスを作成して足に装着します。歩行を促して骨に適切な刺激を加えることで骨密度を高めます。
3、癒合不全の治療症例
プレートの破折や手術後の再骨折
ミューちゃん
以前の治療経過
プレート手術2回、治療期間約60日、炎症止めの使用あり
他院にて前足を骨折したためプレート手術を行っています。治療期間中にプレートが折れたので、再度プレート手術を行っていました。またプレートが折れたため、当院を受診しました。
当院での治療
プレート除去と細菌感受性検査、PRP療法、3Dギプス
ねねちゃん、トイプードル
以前の治療経過
プレート手術4回、スクリューの破折、プレートが折れ曲がる。治療期間は1年7ヶ月
当院の治療
プレートの除去手術、PRP、人工骨の補充、3Dギプス
治療期間は113日
ノアちゃん
以前の治療経過
ピンニング手術後の骨吸収、3回の手術、治療期間68日
当院の治療
ピンの抜去、3Dギプス、PRP療法
スクリュー挿入部位で骨折
プレート抜去後に、同じ部位で再骨折
プレート手術後の骨吸収
治療の相談
骨折の手術後に癒合不全になった場合は、メールか電話で相談してください。