骨折

3Dギプスで治す小型犬の前足骨折

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小型犬の橈尺骨骨折は、ほとんどの症例で手術が選択されています。手術による治療は、骨折面が正確に整復できますが、LCPに代表される強固な固定の手術後に、骨吸収が起こり癒合不全になる症例があります。骨吸収が起きた時に行う再手術や治療は長期間にわたることがあり、犬と家族の負担が重大になります。

小型犬の細い前足の骨折では、手術で行う開創や強固な固定が骨再生の障害になります。そこで、仮骨を形成させて骨再生させる2次骨癒合によるギプス治療を行っています。ただし、従来のギプス固定は、完全な骨折を治癒させることは困難とされていました。

従来のギプス固定の問題点

添え木のように足に装着して、骨折部位が動かないようにします。しかし、従来のギプスを数ヶ月間にわたり装着すると、骨が細くなっていきます。

強固な固定や大きなギプスをつけたままでいると、骨吸収が起こり、骨は細く脆くなって再骨折のリスクが高くなります。従来のギプス固定では、骨折部分に部分負荷がかからない(刺激が伝わらない)のが原因と考えられます。

従来のギプスを装着して6ヶ月間の運動制限をしていた犬です。骨折は治癒せず骨が脆くなっています。

改良型の3Dギプス

従来のギプス固定の問題点を改良した、新しいギプスの作成を試みました。

ギプスは、横とひねり方向に安定性を持たせて、骨折部位に部分負荷がかかるように改良しました。足型をもとにして立体的な3Dのギプスを作成しました。型取りしてから作成したギプスは、足に完全にフィットするので、横とひねり方向の動きを制御します。また、部分負荷の刺激が伝わるように、足先を開放して着地できる形にしました。

足に完全にフィットする立体的なギプス

石膏の足型から作成することで、完全にフィットするギプスが作成できます。

左前足についているのが、3Dギプスです。骨折部位を全周で固定します。

骨折の修復には、刺激が必要です。

足裏から骨折部位に適切な刺激が伝わることで、骨の修復が促進されます。

足型ギプスは、ハサミでカットができるので、レントゲンで仮骨の形成を確認しながら、部分負荷の調整ができます。骨折は、徐々に太く強く修復して行きます。

治療症例

生後7ヶ月、体重1,5kgのポメラニアンの前足骨折


症例(ポメラニアン、体重1,6kg、7ヶ月齢)
横骨折
a:受傷日、b:受傷19日、c:受傷26日、d:受傷41日

生後4ヶ月のトイプードルの前足骨折

約1ヶ月で骨折が治りました。

生後7ヶ月、体重1,3kgのトイプードルの前足骨折

従来のギプス固定では治らないとされていた骨折端のずれた骨でも、3Dギプスの治療で骨癒合しました。修復期には骨が太くなり、リモデリング期には自己矯正で骨がまっすぐになります。

 症例(トイプードル、体重1,3kg 、7ヶ月齢)
骨折端がずれた骨折
a:受傷6日、b:受傷20日、c:受傷38日、d:受傷56日

生後8ヶ月、体重1,4kgのトイプードルの前足骨折

大型犬のボルゾイの前足骨折

大型犬のボルゾイの前足骨折も、足型ギプスで骨折が治癒しました。
変形癒合で曲がって治癒した骨は、徐々にまっすぐに修正されます。

足型ギプスで骨折を治療した犬の動画があります。

当院のユーチューブチャンネル

3Dギプスの利点

  • 無麻酔
  • 日帰り
  • 手術に比べて低コスト
  • サイトカインの温存
  • 骨折の全周囲で固定
  • 部分負荷が調整できる

3Dギプスの作成料金

  • 前足1本骨折:68000円
  • 前足2本骨折:98000円
  • 追加のギプス作成:12000円

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