骨折・整形外科

ORTHOPEDIC SURGERY

3Dギプス骨折治療センター

3Dギプス開発の背景

近年、トイプードルやポメラニアンなどの小型犬と暮らす家庭が増えています。体が小さいほど骨は細いので、膝の高さから落下しても骨折することがあります。骨折の治療は手術が一般的ですが、まれに手術しても骨折が治らない場合があります。「骨が細いから」「手術後に安静にできなかったから」などが考えられていますが、組織再生力が強い若齢犬でも手術後の癒合不全が散見されるため、手術以外の治療法の確立が必要と考えました。
そこで、従来のギプスを試行錯誤して改良を続けて3Dギプス治療法を開発しました。3Dギプス治療法は歩行時の垂直負荷で骨折を治癒させる画期的な治療法です。今後、橈尺骨骨折の治療の主役は手術から3Dギプス治療に変わります。

目次

  1. 従来のギプスからの改良点
  2. 3Dギプスの利点と欠点
  3. 3Dギプスの治療手順と料金
  4. 3Dギプスによる治療例
  5. 当院で行った学会発表
  6. 手術後の癒合不全の治療

1、従来のギプスからの改良点

従来のギプス固定
従来のギプス治療は骨折した足に添え木で固定します。主に亀裂骨折で治療が行われ装着時は安静に過ごします。斜骨折の場合は骨折端がずれて足が短くなっていきます。従来のギプスだけで橈尺骨骨折を治癒させることは困難で、長期にギプスを装着すると骨密度が低下していきます。そして、ギプスを外して数日以内に再骨折することが多いです。
3Dギプス
3Dギプスは足に完全にフィットして安定的に固定します。3Dギプスを装着させて歩行させると、骨折部位に垂直負荷が加わり徐々に骨折が修復していきます。骨の固定と修復が同時に行えるので、骨折の治療期間でも通常の生活ができます。

2、3Dギプスの利点と欠点

大型犬の骨折でも3Dギプスで治療できます。
通院で治療が可能で手術に比べて安全で低コストです。サイトカインが温存できるので骨折が1ヶ月半〜2ヶ月で治癒します。トイプードルやポメラニアン、イタグレやサルーキ、ボルゾイなど犬種や体格や年齢にかかわらず治療できます。骨折した骨は太く強く修復するので、再骨折のリスクが低くなります。
ギプス下の皮膚を洗浄するために毎週の通院が必要です。また、3Dギプスは犬の橈尺骨骨折のみの適応になり、他の部位の骨折や猫の骨折では適応外です。

3、骨折の治療手順と費用

治療手順

骨折した直後は早くに来院してください。レントゲン撮影をしたのち、ズレた骨は徒手整復で矯正して完全固定します。次に、骨折から7〜10日後に3Dギプスを作成して装着します。その後は1〜2週間ごとの定期的な通院で消毒とレントゲン撮影をします。3Dギプスの治療中は積極的に歩かせます。折れた骨は負荷刺激と休憩を繰り返すことで修復します。骨折は約1ヶ月半から2ヶ月くらいで癒合します。若齢犬やスポーツドックは修復力が強いので1ヶ月程度で癒合します。ただし、高齢犬や骨折端が大きくズレている場合は3ヶ月以上かかることがあります。自己の修復力を利用して治る骨は太く強くなります。

3Dギプス作成の費用

1~10kgの小型犬は前足骨折で8万円、両足の同時骨折で15万円です。10kg以上の中〜大型犬は2割〜4割の割増料金になります。

4、3Dギプスによる治療例

橈尺骨骨折の3Dギプス治療は、骨折面がずれやすい斜骨折、手術では難しいとされる手首近くの骨折でも治療できます。骨折が治るのは当たり前だし若齢犬ほど再生力が強く治癒が早いです。

治療中の動画

イタグレの右橈尺骨骨折

3Dギプス治療は歩行することで骨折が修復していきます。スポーツドックは骨髄内の未分化細胞が豊富なので骨折が太く強く修復します。徐々に骨折した足に体重をかけて歩くようになります。

トイプードルの右橈尺骨骨折

最初は少ししか着地しませんが、徐々に着地する回数が増えています。着地による骨折部位への垂直負荷で仮骨が形成します。3Dギプス治療は、歩いて治す骨折治療です。

レントゲンの経過

生後7ヶ月のポメラニアンの前足骨折

骨折直後の湾曲は徒手整復で矯正します。その後の修復期に3Dギプス治療を開始します。骨折初期の処置を適切に行うことで骨はまっすぐな構造で治ります。

生後7ヶ月のトイプードルの前足骨折

従来のギプス固定では治らないとされていた骨折端のずれた骨でも、3Dギプスの治療で骨癒合しました。修復期には骨が太くなり、リモデリング期には自己矯正で骨がまっすぐになります。

大型犬のボルゾイの前足骨折

大型犬のボルゾイの前足骨折も、足型ギプスで骨折が治癒しました。変形癒合で曲がって治癒した骨は、徐々にまっすぐに修正されます。

5、当院で行った学会発表

  • 「3Dギプスによる犬の橈尺骨骨折の治療」
  • 「犬の橈尺骨骨折のピンニング手術後の骨吸収が3DギプスとPRP療法で回復した症例」
  • 「3Dギプスを用いた橈骨尺骨骨折の非観血的治療」

6、手術後の癒合不全の治療

骨折の手術法は、プレート手術、ピンニング手術、創外固定手術があります。小型犬の細い前足の骨折では、全ての手術方法でも金属挿入部位の骨融解、感染、再骨折などで癒合不全になることがあります。一度、骨折が癒合不全になると治癒は困難になります。当院では手術後の骨癒合不全に対して、βTCP人工骨、海面骨移植、PRP療法で治療しています。骨折手術後の癒合不全でお困りの場合は当院に相談してください。

骨折治療に関する問い合わせ

メール ishijima2013@gmail.com
電話 0471461047

獣医師向けの3Dギプス治療の実習を受け付けています。ご希望の方は当院に連絡してください。