口腔内の悪性腫瘍は、大きくなる速度も早く出血したり口腔内の細菌が出血部位で増殖することで悪臭を放ちます。腫瘍が大きくなると、痛みにより食事を十分に食べることができなくなります。
診察と検査
口の中を視診して腫瘍の範囲を確認します。
治療の手順
Step1腫瘍の発見
腫瘍の大きさが1cm以下で発見することが重要です。
Step2細胞診
針で腫瘍細胞を採取して検査センターに送って診断します。5日程度で結果が出ます。
Step3治療法の選択
細胞診の結果をもとに治療計画を立てます。腫瘍の種類とガンの進行度によって、手術、放射線療法、抗がん剤などの治療法を選択します。
犬の口腔内腫瘍
上顎の悪性メラノーマ
犬のメラノーマは非常に悪性度が高く、早期にリンパ節へ転移します。上顎腫瘍の切除手術を行いました。
下顎の大きな悪性メラノーマ
進行癌です。下顎骨の2/3切除を行いました。
上顎の扁平上皮癌
上顎腫瘍の拡大切除を行いました。
猫の口腔内腫瘍
猫の口腔内腫瘍で一番多いのが扁平上皮癌です。痛みを伴いながら早期に進行するため、手術による拡大切除が必要です。
下顎の扁平上皮癌
腫瘍がある右側で、よだれが多く出ます。下顎骨の片側全切除を行いました。
下顎の骨肉腫
下顎骨の片側全切除を行いました。
上顎の線維肉腫
大きくなるほど転移のリスクが高くなります。早期に適切な治療や手術が必要です。
放射線療法を行う場合は、大学病院を紹介しています。
手術や抗がん剤は当院で治療が可能です。
手術
下顎にできたガンの手術後は、顔面の変形は目立ちません。広範囲な切除でも、顔の容貌は維持されることが多いです。当院では、3/4顎骨切除や、顎関節からの下顎骨切除まで対応可能です。上顎のガンの広範囲な切除は、顔面の変形が目立ちます。
術中に出血多かった場合や、術前に貧血傾向の子には術中または術後に輸血を行うこともあります。顎が小さくなるので、舌が垂れ下がる症状や、舌根部の唾液腺管が腫れる症状や、よだれによる皮膚炎が一般的な合併症です。
自力の摂食がすぐには難しい場合は、食道チューブを設置して栄養を補給します。入院では点滴療法も継続して行い、無事におうちに帰れるように努めています。
手術後
犬の顎骨切除
下顎骨の片側全切除を行いました
手術前に比べて、表情が穏やかになっています。進行癌になってしまった場合でも、ガンの切除手術をすることで生活の質を改善できます。
下顎骨片側全切除を行いました。手術の翌日です。
悪性メラノーマで上顎骨切除しました。
猫の顎骨切除
扁平上皮癌で吻側下顎骨1/2切除
当初は食事の介助が必要でした。飼い主様の懸命な介護により、自力で採食できるまで回復しています。
腫瘍を下顎骨ごと切除しました。
下顎骨片側全切除の翌日です。
まだ食事はできませんが、飲水は可能です。徐々に自力で食事をするようになります。
口腔内腫瘍は、当院の獣医師に相談してください。
セカンドオピニオンも受け付けています。