気管虚脱の診断

気管虚脱が一番起こりやすい場所は、首輪をつけている位置の頸部です。散歩中で引き綱を強く引いたりすると、首の気管軟骨に過度な力が加わって、気管虚脱になることがあります。特に小型犬では気管軟骨が、薄く弱いので一度の強い圧迫で、気管虚脱を発症することがあります。頸部に気管虚脱が起こると徐々に胸部まで広がって行きます。また、心臓の弁膜症により胸部の奥の気管分岐部で気管支虚脱が起こります。気管軟骨が虚脱を起こすと、内科療法やサプリメントでは回復することはありません。

 


頸〜胸腔内の気管の太さをレントゲン撮影で撮影します。気管を縦方向から撮影したレントゲンと、呼気と吸気の時のレントゲンを撮影します。
気管を縦方向から撮影すると、正常は気管は、ほぼ円形をしていますが、気管虚脱を発症した場合は、扁平〜三日月型になります。また、呼気と吸気のレントゲン画像では気管虚脱の場所を確認できます。

心臓の弁膜症を発症している犬では、気管支虚脱を起こしていることが多く、気管虚脱の手術は不可能の場合が多いです。

 

 

 

 

 

 


レントゲン透視装置では、通常の連続した呼吸状態がわかるので胸部と頸部の虚脱部位が、より正確に確認できます。
全身麻酔下の内視鏡検査では、気管枝分岐部の虚脱の確認まで可能になります。

 

 

 

気管虚脱の手術

PLLP

プラスチック光ファイバーのアクリル樹脂を整形して気管の外側から装着し、気管軟骨を補強します。頸部の気管虚脱で手術が可能です。胸部の気管や気管支の分岐部に虚脱がある場合は、手術だけで咳のコントロールをすることは困難で、継続的な咳止めの投薬が必要です。

写真は、いろいろなサイズの気管の太さと長さに成型したPLLPです。それぞれの期間に合わせたものを滅菌して使用します。

PLLP手術

頸部を切開し気管を露出すると、扁平になった気管が確認できます。通常の気管軟骨は円形を保つのですが、気管虚脱では軟骨が直線化して、空気の通り道も扁平になります。

写真は、下方が扁平になった気管で、平たく見えます。

気管ステントによる手術

気管内部から広げるニチノールステント(Infinity Medical社)を気管内に挿入する手術です。
透視下で気管の太さを測定して、気管のサイズに合ったステントを挿入します。頸部〜胸部の深い位置までの気管虚脱で適応が出来ます。
気管ステントはカリフォルニアから輸入するため注文から2〜3週間かかりますが、当院では在庫を10サイズ(小型犬用)を準備しています。 挿入するステントのサイズが、当院の在庫にあれば、当日でも緊急手術が可能です。
ステントのサイズ測定は、麻酔をして人工呼吸をしながら20cm H20の気管の圧力下でレントゲンを撮影します。レントゲン写真から、気管の直径と虚脱部位の長さを測定し、適応するステントのサイズを選択します。サイズが不適合のステントを挿入すると、挿入したステントの場所が移動したり、気管の損傷を起こす可能性が高くなります。挿入後に持続性の咳や機械的圧迫があると、ステントを損傷させる可能性があります。吠える犬は、しつけ教室の参加またはドックトレーナーによるトレーニングを勧めています。

永久気管の設置

以前、行われていた手術法です。全胸部に空気の入り口を作ります。現在はほとんど行われていません。

内科療法

軟骨が虚脱を起こした気管は変わらないので、長期間の投薬が必要です。手術が不適応な場合や、高齢犬では飲み薬でコントロールすることがあります。現在は、気管虚脱の咳を良好にコントロールできる薬がありますので、当院の獣医師に相談してください。

 

家庭でできる気管虚脱の予防と対策

首輪から胴輪に切り替えましょう

気管とは喉から肺までの空気の通り道です。気管虚脱は、気管を支えている軟骨が弱くなり、ホース様の丸い形が潰れて、扁平になり内腔が狭くなる病気で、ガチョウの鳴き声のような咳をします。トイプードルやポメラニアンで起こりやすく、また、中型犬以上でも散歩中に綱を引っ張って歩く犬は、気管虚脱になるリスクがあります。

体重管理

肥満が気管虚脱の悪化の原因になります。体重管理として、食事療法を指導しています。運動より食事療法で減量させます。

むだ吠えの矯正

興奮してよく吠えやすい性格は、気管虚脱を悪化させます。定期的に開催している「犬のしつけ方教室」への参加を、お勧めしています。無駄吠え矯正、興奮しやすい性格の改善させましょう。

気管虚脱の診察

気管虚脱の手術適応できるかは、診察と検査が必要です。PLLPやステント手術が不可能な場合でも、適切な管理と内科療法を行えますので、相談してください。

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