整形外科 骨折

小型犬の前足骨折

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犬の骨折治療

骨折が治るには、骨の修復と再生が必要です。

犬の前足の骨折
骨折が治癒していく継時的変化です。変形癒合した骨でも、徐々にまっすぐになっていきます。

小型犬の骨折治療で癒合不全が起こる理由

小型犬は骨が細く、骨再生に必要な、海綿骨、骨髄、サイトカイン、骨への血行などが乏しいです。骨折時には血腫や炎症により骨修復に必要な材料が骨折した部位に集まりますが、骨再生に必要な量が集まらなかったり、動物が非協力的で固定ができなかったり、手術による血行遮断や血腫を除去してしまったりなどの複合的な要因で骨折が治らない場合があります。

骨折が治らない例

ギプスが大きすぎて足を使わせなかった例

足先のつかない過剰な固定を長い期間で行っていたため、骨融解が起こっています。骨は細く脆くなっていました。

ロッキングプレート

2〜3年前に猫の後足の骨折をロッキングプレートで手術したものです。ロッキングプレート法は、最新のプレート手術法ですが、骨折部の圧着が強いため骨の再生は起こりにくくなります。骨折したであろう場所の骨再生はできていません。また、足首は進展したまま固定されて動かなくなっていました。

強固なプレート固定

骨に対してプレートが大きすぎた例です。プレートが強固なため骨に刺激が伝わらず骨吸収が起こっていました。

強固な創外固定

創外固定で治療された小型犬の前足骨折です。固定が強すぎたため骨折部位から骨が溶けていました。

骨折部位が癒合不全になった場合は、再手術を繰り返したり、最終的には断脚を選択をするしかないこともあります。

 

院長
骨吸収を起こしてしまう共通点は、治療によって骨に刺激が無くなっていることです。2017年3月に行われた日本再生医療学会で、足の完全固定した場合は、石灰化は起こらないことと、生理的な速度でリモデリングされた骨が一番強いことが発表されています。

 

ポイント

現在の、人の医療における骨折治療の考え方は、正常な骨の修復の過程を阻害しないことが重要とされています。骨折が治るということは、骨が再生するということです。骨再生の過程で重要なことは、フレキシブルな固定で骨折部位に刺激を与えることです。しかも、骨折の治癒は、生理的な速度でリモデリングされた骨が一番強いとされています。

骨の癒合不全を無くしたい

骨吸収を起こさせない骨折の治療

犬の骨折の再生治療

骨折している足から足型を作成して、オーダーメイドのピッタリあったギプスを作成しています。負重できる工夫をして、骨折部位に適度ば刺激が加わるようにします。非開創で生理的に修復した骨折部位は、竹の節のように太く強く再生します。

足型ギプスによる骨折治療

小型犬の骨折治癒では、前足が細いほど足にフィットしたギプスを装着することが重要になります。足型から作成したギプスでは、骨折部位がずれるリスクが少なく、褥瘡の軽減され、着地による骨への刺激が与えられます。フレキシブルな固定ができるため、早期に骨折部位の再生が促されます。

上下の長さを整えて、オーダーメイドの足にフィットしたギプスを作ります。

足にぴったりフィットしたギプスは、皮膚の褥瘡のリスクを軽減して、治療中の皮膚病のストレスを軽減します。
足裏が着地できる形にすることで、骨折部位に適度な刺激が加わり骨折の治癒が進みます。骨の折れ方が横骨折の場合は、ギプス固定だけで治療できます。

骨折から1週間ぐらいで、徐々に骨折した足を着地させるようにします。

足型ギプスは、着地できるギプスです。足裏からの適度な刺激が、骨折に治癒を促します。また、全周で足を固定できるため、フレキシブルで安定した固定です。サイトカインを温存して、自然な速度で骨が治癒するので、骨折は強く太く修復します。

足型ギプスによる治療症例

その1:超小型犬の前脚骨折の治療

体重1,5kgのポメラニアンの右前脚の骨折です。細い骨ほど足型ギプスによる治療が効果的です。開創手術を行うと、癒合不全のリスクが高くなります。

骨折ラインが骨に対して真横の横骨折の場合では、手術を行わずに足型ギプスだけで治骨折ラインが骨に対して真横の横骨折の場合では、手術を行わずに足型ギプスだけで治癒が可能です。骨折部位は、竹の節のように太く強く修復します。

その2:生後4ヶ月のトイプードルの前足骨折

若齢犬ほど、足型ギプスの効果が高いです。足型ギプスのみで、約1ヶ月で骨折は治癒しました。

骨折の治癒までの動画があります→

その3:イタリアングレイハウンドの前足骨折

イタグレは、骨折治療後に癒合不全が起こしやすい犬種です。足型ギプスと創外固定手術の併用で治療しました。良好な経過で、骨が治癒しました。

その4:ボルゾイの前足骨折

体重が30kgの大型犬のボルゾイの右前足の骨折です。ボルゾイの前足骨折も治療が難しいとされています。ギプス固定で骨折治療してほしいとの事でしたので、ギプスと超音波による治療を行いました。

骨折ラインが斜めの斜骨折でしたので、変形癒合を了承してもらい、足型のギプスで治療を開始しました。

若くて元気な大型犬のため、エリザベスカラーが外れて、ギプスを噛んで破壊することを3回しました。治療の初回に足型の石膏を作っているため、破壊されても足にフィットするギプスを作れます。足型の石膏は、骨折の治療が終了するまで病院で保管しています。

足型ギプスによる治療は、横骨折なら1ヶ月〜1ヶ月半程度、斜骨折なら約3ヶ月で骨が癒合します。今回は、PRPの局所注射と超音波治療も行なっています。

現在、1年以上の経過を診させています。歩行も正常で障害も無く、生活に支障はありません。変形して癒合した骨は、月を追うごとに真っ直ぐに修正されています。変形癒合で治癒した骨折部位は、竹の節のように太く強固に癒合します。生体が持つ治癒力を利用した方法で治す骨折治療は、癒合不全のリスクを著しく減少させます。

大型犬(ボルゾイ)の骨折

現在、1年以上の経過を診させています。歩行も正常で障害も無く、生活に支障はありません。変形して癒合した骨は、月を追うごとに真っ直ぐに修正されています。変形癒合で治癒した骨折部位は、竹の節のように太く強固に癒合します。生体が持つ治癒力を利用した方法で治す骨折治療は、癒合不全のリスクを著しく減少させます。

その他に、当院で行なっている骨折の治療

PRP療法(Platelet Rich Plasma/多血小板血漿)

PRP療法は、骨折の癒合不全、骨・軟骨・靱帯損傷などで使用します。人の医療でも、骨の再建に使用しています。患者負担は全血の採血だけで侵襲が少なく、自己由来なので安全な治療法です。
PRPは自己の血液中の血小板から作成します。血小板は止血のみならず創傷治癒に重要な働きがあります。血液が凝固するときには、血小板が 内包するα顆粒から多種多量のサイトカインを放出し、これが、炎症と組織増生を導き、治癒がはじまります。治療は、自己の血液から作成したPRP液を骨折部位に局所注射します。

超音波療法

低出力パルス超音波の骨折治療器で治癒を促進させます。

犬の骨折の治癒を促進する超音波治療器

手術による骨折治療

創外固定法

過度に強固な固定をしない創外固定は、生体が骨折を認識して治癒を開始します。 創外固定は見た目の悪さと治癒するまでの不自由さがありますが、骨折部位が全周で強固に治ります。

トイプードルの骨折

ピンニング法

猫の大腿骨は骨の形が円柱状で横断面が丸いので、ピンニング法が使いやすいです。骨の海綿骨部分にステンレスのピンを挿入します。骨折部位の全周で治癒するので骨折部分が太く強く再生します。

 プレート法

骨に沿わせたプレートをネジで止めることで強固な固定が得られます。特に、ロッキングプレートやダブルプレート法では、非常に強固な固定になります。

過去の骨折の治療では、正確で強固なプレート法を推奨していました。しかし、手術による固定が強固なほど、癒合不全になるリスクが高くなることが分かってきました。プレート法の手術の直後のレントゲン写真は、正確な整復が行えるので、手術が成功したように見えます。

院長
以前は、当院でも骨折治療はプレート手術や創外固定手術をスタンダードな治療としていました。再生医療を学び始めて、サイトカインの温存の重要性や骨の再生のメカニズムから、足型ギプスによる骨折治療をメインに転換しました。全症例で、非常に良好な骨再生ができています。

癒合不全の骨の再生治療

 癒合不全や骨吸収を起こした骨は、通常の手術法での治療は困難です。
当院では、骨再生を阻害している瘢痕組織を取り除き、下記の治療を組み合わせて骨の再生を行います。

  • 自己海綿骨移植
  • 幹細胞移植
  • PRP療法
  • 人工骨BMP製剤
  • ギプス固定
  • 創外固定
  • プレート法

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