骨折した骨を、強く太く再生させる治療を行います

骨折では、生体が持つ治癒力を利用して治療すると、再骨折や癒合不全のリスクが少なくなります。

PERRENの骨折の治癒に関する論文

Fracture Healing The Evolution of Our Understanding 2008
・骨折部を強固に固定すると、生体は骨折の治癒を行わない。
・四肢においては正確に整復しないフレキシブル(弾力的)な固定が推奨される。


骨折の治癒には、刺激がないと骨の再生が起こりません。

創外固定が強すぎて骨吸収を起こした骨

小型犬は骨が細く、骨再生に必要な、海綿骨、骨髄、サイトカイン、骨への血行などが乏しいです。骨折時には血腫や炎症により骨修復に必要な材料が骨折した部位に集まりますが、骨再生に必要な量が集まらなかったり、動物が非協力的で固定ができなかったり、手術による血行遮断や血腫を除去してしまったりなどの複合的な要因で骨折が治らない場合があります。しかも、過去の骨折の治療では、骨折部を正確に整復して強固な内固定(プレート法)を推奨しており、手術による固定が強固なほど癒合不全になるリスクを高まります。足を挙上させて歩くようになると、骨吸収が加速して骨が消えていきます。

当院で行う小型犬の骨折治療

骨折が治るには、骨の再生を起こさせることが必要です。当院は小型犬の四肢の骨折治療は、「早く強く骨を癒合させる」「骨の癒合不全や弱体化を起こさせない」ことを優先と考えています。当院でも、小型犬の前足骨折の治療は、プレート法をメインとしていました。現在は、足の型取りして作成したギプス固定とPRP法と超音波治療器で治療しています。斜骨折や、肘に近い場所では、創外固定を行います。
骨折部を開創しない治療法(ギプス、創外固定)は、骨折部位に血行、サイトカイン、組織修復の修復因子が温存できるため、骨癒合不全のリスクが少なく、骨折が早く強く治ります。

ギプスの作成〜装着

足の型取りしてギプスを作成します。一度石膏で型取りすることで足にフィットするギプスが作成できます。特に小型犬の前足骨折ではこの作業が重要です。 足にフィットするギプスは褥瘡のリスクが減らせます。また、足裏を着地させることが骨再生をうながします。

足型を石膏で作成してから、ギプスを作成しています。

足型から作成したギプスは、骨折部位がずれるリスクが少なく、褥瘡の軽減され、着地による骨への刺激が与えられて再生を促します。

作成法によるギプスの違い

市販のギプスや、直接足に巻いて作ったギプスでは骨折箇所の十分な固定ができません。徐々に骨折ラインがずれていったり、褥瘡が起こるリスクが高くなります。強固な骨固定手術と同様で、ギプスで足を全く動かせないように固定すると1週間程度で骨吸収が始まります。
小型犬の骨折治癒では、前足が細いほど足にフィットしたギプスを装着することが重要になります。正確に作成したギプスは、骨折した足の固定ができて、血行の遮断を起こさないので、フレキシブルな骨治癒が起こります。
骨折から1週間ぐらいで、徐々に骨折した足を着地させるようにします。

左が足型から作成したギプスです。右は足に巻いて作成したギプスです。この少しの違いが、癒合不全のリスクに大きな差が出ます。

PRP療法(Platelet Rich Plasma/多血小板血漿)

PRP療法は、骨折の癒合不全、骨・軟骨・靱帯損傷などで使用します。人の医療でも、骨の再建に使用しています。患者負担は全血の採血だけで侵襲が少なく、自己由来なので安全な治療法です。
PRPは自己の血液中の血小板から作成します。血小板は止血のみならず創傷治癒に重要な働きがあります。血液が凝固するときには、血小板が 内包するα顆粒から多種多量のサイトカインを放出し、これが、炎症と組織増生を導き、治癒がはじまります。治療は、自己の血液から作成したPRP液を骨折部位に局所注射します。

超音波療法

低出力パルス超音波の骨折治療器で治癒を促進させます。

型取りギプスと再生医療で骨折を治療した症例

体重1,5kgのポメラニアンの前脚骨折です。型取りギプス、PRP療法、超音波治療で約1ヶ月で治癒しました。

大型犬のボルゾイの前脚骨折です。型取りギプス、PRP療法、超音波治療で、約3ヶ月で治癒しました。


骨折の手術法

創外固定法

1、FESSA創外固定 2、創外固定に使う手術器具

過度に強固な固定をしない創外固定は、生体が骨折を認識して治癒を開始します。 創外固定は見た目の悪さと治癒するまでの不自由さがありますが、骨折部位が全周で強固に治ります。

ピンニング法

1、骨の真ん中にステンレス製のピンを挿入します。2、ピンニング法で使用する手術器具

骨の海綿骨部分にステンレスのピンを挿入します。骨折部位の全周で治癒するので骨折部分が太く強く再生します。猫の大腿骨は骨の形が円柱状で横断面が丸いので、ピンニング法が使いやすいです。

 プレート法

1、ネジでプレートを骨に固定します。2、プレート法で使用する手術器具

 骨に沿わせたプレートをネジで止めることで強固な固定が得られます。当院では、骨盤の骨折でプレート法を使っています。小型犬の骨折手術でプレートが大きすぎたり固定が強すぎると、骨癒合不全の原因になります。


癒合不全の骨の再生治療

 癒合不全や骨吸収を起こした骨は、通常の手術法での治療は困難です。
当院では、骨再生を阻害している瘢痕組織を取り除き、下記の治療を組み合わせて骨の再生を行います。

  • 自己海綿骨移植
  • 幹細胞移植
  • PRP療法
  • 人工骨BMP製剤
  • ギプス固定
  • 創外固定
  • プレート法

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