口腔内腫瘍は初期に発見できれば、完治の可能性が高くなりますので、普段の診察時から注意深く確認しています。

犬の口腔内の悪性腫瘍は、悪性黒色腫、扁平上皮癌、線維肉腫が多く見られます。年齢や基礎疾患、転移の有無を考えて、治療法を提示をします。口腔内腫瘍の治療には、外科、抗がん剤、放射線、免疫療法が選択肢になります。生活の質が改善や完治の可能性が一番高く見込めるのは、外科手術です。

手術する場合は、「完治を目的とする手術」か「生活の質を改善させるための手術」の2つ目標を決めます。飼い主様と、手術の目的とリスクを共有してから手術を行なっています。

 

下顎骨の部分切除

口腔内メラノーマです。

口腔内の悪性黒色腫は成長速度が速く、早期に周囲の骨やリンパ節に浸潤します。最終的には肺などに遠隔転移をします。肉眼上は黒く、潰瘍や壊死によって唾液が臭くなります。積極的な拡大切除で再発率は低く生存期間も長くなるという報告があります。無治療だった場合の平均生存期間は約2ヶ月です。

 

 

下顎骨の部分切除

12歳のゴールデンレトリバーの左下顎の悪性黒色腫です。腫瘍部分から出血するようになり、生活の質が悪化していくことが予想できます。高齢犬のため、飼い主様は手術を迷っていましたが、腫瘍からの出血が起こっていたため、下顎骨の部分切除を行いました。緩和目的の手術です。

 

 

 

 

下顎骨の片側全切除

右の下顎骨にできた悪性メラノーマです。進行癌で、緩和手術になります。

 

 

 

左の下顎骨に骨肉腫で、左下顎骨の片側全切除を行ないました。術後の補助療法として抗がん剤(カルボプラチン)で治療しました。舌は切除した側で垂れますが、食事の介助は不要です。手術後2日目には自力で食事をとりました。

 

 

部分的上顎骨切除術

手術による切除が可能かは腫瘍の大きさが重要です。

 

吻側下顎骨部分切除

口腔内腫瘍では、食事をとるたびに出血が起こることが多いです。また、痛みのために食欲がなくなることもあります。犬の吻側の下顎骨切除は、自力で食事をすることにほとんど不自由はありません。

 

 

扁平上皮癌で下顎骨の吻側切除

下顎骨の扁平上皮癌です。高齢犬ですが、転移が無く手術のメリットが大きいと判断して下顎骨の吻側切除手術を行いました。切除した次の日には、自力で食事をしました。

 

 

片側下顎骨の顎関節部分切除

発見しにくい場所で、リンパ節転移が起こりやすい場所です。

 

犬の上顎骨の扁平上皮癌

口腔内で上顎の犬歯周囲から発生した扁平上皮癌です。顔にできる腫瘍は、大きいほど見た目が変わるので痛々しくなります。腫瘍はゴルフボール大で、唇がめくれ上がるくらいの大きさでした。興奮するだけで、腫瘍から大量に出血していました。腫瘍に太い動脈が入ってるらしく一度出血するとボタボタと滴ります。炎症止めや止血剤の内科療法では、腫瘍の増大は止められませんし出血のコントロールも出来ませんでした。

術後は顔が変形しますが、術前よりは生活の質が断然良くなります。次の日には、水も食事も自力で食べることができました。手術後の問題点は、下顎の犬歯が上唇にあたるようになります。

下顎骨の片側全切除の1年後

1年前に、悪性黒色腫で下顎の片側を切除しました。切除した側の頬の筋肉が、時間が経つごとに萎縮するので、頬がこけたように見えます。舌も切除側で少し見えるようになります。しかし、自分で食事ができるので、生活に支障はありません。

下顎骨切除1年

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